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化粧品ECのプレゼント企画と景品規制:懸賞・総付景品の限度額とSNSキャンペーンの注意点

公開日:2026年6月10日

景品表示法には「表示規制」と「景品規制」の2つの柱があります。優良誤認・有利誤認は表示規制、プレゼント企画やノベルティは景品規制の話で、ルールがまったく異なります。化粧品ECでは「○円以上購入でサンプルプレゼント」「フォロー&リポストで抽選」などの企画が日常的に行われますが、企画の形によって一般懸賞・総付景品・オープン懸賞のどれに当たるかが変わり、適用される限度額も変わります。本記事で、消費者庁が示す景品規制の枠組みを化粧品ECの実務に沿って整理します。

表示規制と景品規制は別物

景品表示法は、不当な「表示」を禁止する表示規制(優良誤認・有利誤認・ステマ規制など)と、過大な「景品類」の提供を制限する景品規制の2本立てです。景品規制の対象になるのは、顧客を誘引する手段として、取引に付随して提供する物品・金銭などの経済上の利益(景品類)です。プレゼント企画を設計するときは、まず「この企画はどの類型に当たるか」を判定し、その類型の限度額に収めるのが基本の流れとされています。

景品規制は3つの類型に分かれます。①一般懸賞(抽選・クイズなど偶然性や優劣で提供)、②共同懸賞(商店街など複数事業者が共同で実施)、③総付景品(懸賞によらず購入者・来店者にもれなく提供)。それぞれに限度額が定められています。

一般懸賞・共同懸賞の限度額

「購入者の中から抽選で○名様にプレゼント」のように、くじや抽選など偶然性によって景品を提供する企画は一般懸賞に当たります。消費者庁の整理では、一般懸賞で提供できる景品類の最高額は、取引価額が5,000円未満の場合は取引価額の20倍まで、5,000円以上の場合は10万円までとされています。さらに、景品類の総額は懸賞に係る売上予定総額の2%以内に収める必要があります。

  • 一般懸賞の最高額:取引価額5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円
  • 一般懸賞の総額:懸賞に係る売上予定総額の2%まで
  • 共同懸賞(商店街・ショッピングモール等の共同実施)の最高額:取引価額にかかわらず30万円
  • 共同懸賞の総額:懸賞に係る売上予定総額の3%まで

たとえば3,000円の美容液の購入者を対象に抽選プレゼントを行う場合、景品の最高額は3,000円×20倍=6万円が目安になります。最高額だけでなく総額の2%制限もあるため、当選人数×景品単価が売上予定総額の2%に収まるかの確認も必要です。

総付景品(ベタ付け)の限度額

「購入者全員にサンプルプレゼント」「○円以上購入でノベルティポーチ進呈」「先着100名様に進呈」のように、懸賞によらず、購入者・来店者にもれなく(または先着順で)提供する景品は総付景品(ベタ付け景品)に当たります。消費者庁の整理では、総付景品の最高額は、取引価額が1,000円未満の場合は200円、1,000円以上の場合は取引価額の10分の2までとされています。総付景品には総額の制限はありません。

  • 取引価額1,000円未満:景品の最高額は200円
  • 取引価額1,000円以上:景品の最高額は取引価額の10分の2(例:5,000円の購入条件なら1,000円まで)
  • 「○円以上購入で」型の企画では、その条件金額が取引価額の基準になる
  • 景品の価額は、消費者が通常購入するときの価格(市価)で評価するのが基本とされる

総付景品は一般懸賞より限度額がかなり低い点に注意が必要です。同じ景品でも「全員に提供」なら取引価額の2/10まで、「抽選で提供」なら20倍までと、企画の形で上限が大きく変わります。高額なノベルティを全員提供する設計は、限度額超過になり得ます。

景品類に当たらない場合:値引き・アフターサービス・試供品

プレゼントに見えても、景品類に当たらないと整理されるものがあります。正常な商慣習に照らして値引きまたはアフターサービスと認められる経済上の利益や、取引に係る商品に附属すると認められるものは、景品類に含まれないとされています。また、試食・試用のための見本(最小取引単位程度で見本である旨を明記したもの)や、社名入りカレンダーなどの宣伝用物品は、正常な商慣習に適合する範囲で景品規制の適用除外とされています。

  • 「2個購入で10%OFF」などの値引きは、正常な商慣習の範囲なら景品類に当たらないとされる
  • 配送料の無料化など、取引の遂行上必要なサービスは景品類に当たらない場合がある
  • 自社商品の試供品・サンプルは、試用目的の最小単位で「見本」と分かる形なら適用除外になり得る
  • ただし市販品をそのまま大量に付ける場合などは、見本ではなく景品類と判断され得る

化粧品ECで多い「現品購入で同シリーズのミニサイズサンプルを同梱」は、試用目的の見本として整理できる場合が多い一方、形態や量によっては総付景品として限度額の確認が必要になります。判断に迷う企画は、消費者庁の運用基準や専門家への確認をおすすめします。

SNSのフォロー&リポストキャンペーンはオープン懸賞

「アカウントをフォロー&この投稿をリポストで、抽選で○名様にプレゼント」のように、商品・サービスの購入を条件としない企画は、取引に付随しないオープン懸賞に当たります。オープン懸賞には景品規制は適用されず、提供できる金品に具体的な上限額の定めはないとされています(平成18年に上限規制が撤廃されています)。

オープン懸賞でも、景表法の表示規制は適用されます。キャンペーン投稿で商品の効果を誇大に書けば優良誤認、化粧品の効能の範囲を超えれば薬機法の問題になり得ます。また、当選者に投稿を依頼する場合は、2023年10月施行のステマ規制(措置命令の対象)によりPR表記の徹底が必要です。さらに、InstagramやXなどプラットフォームごとのキャンペーン規約・ガイドラインは法律とは別に存在するため、規約の確認も忘れないでください。

  • 購入を条件にした瞬間に「取引付随性」が生じ、オープン懸賞ではなく一般懸賞(または総付景品)の限度額が適用され得る
  • 「購入レシートの投稿で応募」「会員限定で応募」なども取引付随と判断され得るため、応募条件の設計に注意する
  • 当選連絡を装った偽アカウント対策など、企画の信頼性確保もあわせて検討する

化粧品ECのプレゼント企画チェックリスト

  • 企画の類型を判定したか(一般懸賞/総付景品/オープン懸賞)
  • 一般懸賞なら:最高額(取引価額の20倍または10万円)と総額(売上予定総額の2%)の両方を確認したか
  • 総付景品なら:最高額(200円または取引価額の2/10)を確認したか
  • 景品の価額を市価ベースで評価したか
  • 値引き・見本など景品類に当たらない整理ができる企画かを検討したか
  • キャンペーン告知文が優良誤認・薬機法の表現規制に触れていないか
  • インフルエンサー・当選者投稿のPR表記(ステマ規制)と、プラットフォーム規約を確認したか

Plottell(プロッテル)のAIリーガルチェックは、キャンペーン告知文やLPのコピーを薬機法・景表法の観点で確認し、誇大表現や根拠を要する訴求を検出します。プレゼント企画の告知文の一次チェックに活用してください。

よくある質問

購入者全員にプレゼントする企画の上限はいくらですか?

懸賞によらず全員に提供する景品は総付景品に当たり、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2が景品の最高額とされています。たとえば5,000円以上購入が条件なら、景品は1,000円までが目安です。

SNSのフォロー&リポストキャンペーンに景品の上限はありますか?

商品の購入を条件としない企画は取引に付随しないオープン懸賞に当たり、景品規制は適用されず、上限額の定めはないとされています。ただし表示規制(優良誤認等)やステマ規制、薬機法、各プラットフォームの規約は別途適用されるため注意が必要です。

商品に付けるサンプルやミニサイズは景品規制の対象ですか?

試食・試用のための見本(最小取引単位程度で見本と分かるもの)は、正常な商慣習に適合する範囲で景品規制の適用除外とされています。一方、市販品をそのまま付けるなど見本と言えない形態では総付景品として限度額の確認が必要になり得ます。

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