メンズコスメの薬機法:皮脂・テカリ・ヒゲ・加齢臭の広告表現はどこまで言える?
公開日:2026年6月10日
メンズスキンケア市場の拡大で「皮脂・テカリを抑える」「ヒゲが薄くなる」「加齢臭をブロック」といった男性向け訴求が増えていますが、薬機法上「メンズ専用の効能枠」は存在しません。男性向けでも法律上は同じ化粧品であり、言える効能は厚生労働省通知の56項目(医薬部外品なら承認効能)の範囲に限られます。本記事では、皮脂・テカリ、ヒゲ、加齢臭・体臭、毛穴・ニキビという男性訴求の頻出4テーマについて、NGになりやすい表現と言い換えの考え方を整理します。
メンズコスメに「専用の効能枠」はあるのか
ありません。男性向けに企画・販売されている製品でも、薬機法上の分類は通常の化粧品または医薬部外品(薬用化粧品)と同じです。化粧品として広告できる効能は、厚生労働省通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年薬食発0721第1号)に定められた56項目が基準とされており、ここに男女の区別はありません。「メンズ用だから皮脂や臭いに強く言える」という特例は無く、むしろ男性訴求は皮脂・ヒゲ・体臭など生理機能に踏み込みやすいテーマが多いため、一般の化粧品広告より逸脱が起きやすい領域といえます。
56項目には「皮膚をすこやかに保つ」「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」のほか、「ひげを剃りやすくする」「ひげそり後の肌を整える」といったシェービング関連の効能も含まれています。まずは自社製品が化粧品か医薬部外品(薬用)かを確認し、言える範囲の土台を確定させることが出発点です。
皮脂・テカリ:「皮脂を抑える」はなぜ危ないか
「皮脂の分泌を抑える」「皮脂をコントロールする」といった表現は、身体の生理機能(皮脂分泌)への作用を示す表現とされ、化粧品の効能の範囲を超えるためNGになり得ます。一方、すでに肌表面にある皮脂への物理的なアプローチや、メイクアップ効果による見た目の変化は、整理のしかた次第で表現の余地があります。
- NG寄り:「皮脂を抑える」「皮脂分泌をコントロール」「テカらない肌質に変える」(生理機能への作用を示唆)
- 言える整理:「余分な皮脂を洗い流す」「皮脂を拭き取る」(洗浄・清浄は56項目の範囲内)
- 言える整理:「テカリを防ぐ」「テカリを目立たなくする」を、皮脂吸着パウダー等によるメイクアップ効果・物理的カバーの範囲として説明する
- 「肌を引き締める」「肌をすこやかに保つ」など56項目の表現に寄せる
同じ「テカリを防ぐ」でも、根拠の置き方で評価が変わり得ます。「皮脂の分泌そのものを抑えて防ぐ」と読める文脈はNG寄り、「パウダーが皮脂を吸着して見た目のテカリを目立たなくする」という物理的メカニズムの説明ならOK寄り、という整理が一般的です。キャッチコピー単体でなく、前後の文脈・ビジュアルを含めて判断されます。
ヒゲ:シェービングは言える、抑毛はNG
ヒゲ関連で化粧品が言えるのは、56項目にある「ひげを剃りやすくする」「ひげそり後の肌を整える」というシェービング前後のケアまでです。毛の生え方そのものに作用する表現は、化粧品では認められないとされています。
- OK:「ひげを剃りやすくする」「ひげそり後の肌を整える」「シェービング後のヒリつきがちな肌にうるおいを与える」
- NG:「ヒゲが薄くなる」「ヒゲが生えにくくなる」「毛が細くなる」(抑毛効果=身体機能への作用で、化粧品の範囲外)
- NG:「青ヒゲが消える」(毛への作用を示唆。メイクアップ効果でカバーする製品なら「青ヒゲをカバーする」「目立たなくする」の整理)
- 「ムダ毛ケア」のような、作用のメカニズムに触れない表現に留める整理が実務上よく使われる
抑毛訴求はメンズ系のローション・アフターシェーブで特に逸脱が起きやすいポイントです。「使い続けるとヒゲ処理がラクになる気がする」といった体験談形式でも、抑毛効果を暗示すれば同様にNGになり得ます(個人の感想であることは免罪符になりません)。
加齢臭・体臭:化粧品は「香りでマスキング」まで
ニオイ対策は、化粧品と医薬部外品(薬用デオドラント)で言える範囲が大きく異なります。化粧品が言えるのは「芳香を与える」、つまり香りで体臭をマスキング(カバー)するという整理までとされています。ニオイの原因菌やニオイの発生そのものに作用する表現は、有効成分により「わきが(腋臭)」「皮膚汗臭」「制汗」などの効能が承認された医薬部外品の領域です。
- 化粧品で言える整理:「香りで汗のニオイをカバーする」「フレグランスで気になるニオイをマスキング」
- 化粧品でNG寄り:「加齢臭を防ぐ」「体臭を消す」「ニオイの原因菌を殺菌」「制汗」(防臭・殺菌・制汗は医薬部外品の承認効能の領域)
- 医薬部外品でも、言えるのは承認を受けた効能効果(皮膚汗臭・わきが・制汗など)の範囲まで。「加齢臭」という語が承認効能に含まれるかは個別の承認内容によります
- 「ミドル脂臭」「疲労臭」などの俗称を使った断定的な訴求も、効能の範囲を超える示唆にならないか確認が必要
毛穴・ニキビ:洗浄の範囲に留める
男性向け洗顔料で頻出の毛穴・ニキビ訴求も、基本の整理は通常の化粧品と同じです。「ニキビを防ぐ」は医薬部外品(薬用)の承認効能であり、化粧品では「(洗顔により)ニキビを防ぐ」のみ可という整理が一般的とされています。毛穴は「(汚れをおとすことにより)毛穴を目立たなくする」など、洗浄を根拠とした範囲に留めます。
- OK寄り:「毛穴の汚れ・余分な皮脂を洗い流す」「洗顔でニキビを防ぐ」(洗浄を根拠とする整理)
- NG寄り:「ニキビを治す」「ニキビ跡を消す」「毛穴を引き締めて小さくする」(治療・身体変化の示唆)
- 薬用洗顔料(医薬部外品)なら「ニキビを防ぐ」を効能として言えるが、「治す」は医薬品の領域でNG
メンズ訴求のチェック手順
- 製品分類を確認する(化粧品か医薬部外品か。医薬部外品なら承認効能の文言を確認)
- 訴求が生理機能への作用(皮脂分泌・抑毛・殺菌・制汗)を示唆していないか確認する
- 物理的メカニズム(洗浄・拭き取り・吸着・マスキング・メイクアップ効果)で説明し直せないか検討する
- 体験談・ビフォーアフター画像・ハッシュタグまで含めて、効能の範囲を超える暗示が無いか確認する
Plottell(プロッテル)のAIリーガルチェックは、メンズコスメを含む化粧品ECのコピーを薬機法・景表法の観点で確認し、「皮脂を抑える」「ヒゲが薄くなる」のような効能範囲を超えやすい表現を検出します。配信前の一次チェックの効率化に役立ちます。
よくある質問
メンズコスメは普通の化粧品と薬機法のルールが違いますか?
違いません。男性向け製品でも法律上は同じ化粧品(または医薬部外品)であり、化粧品なら厚生労働省通知の56項目が効能表現の基準になります。「メンズ専用の効能枠」は存在しないとされています。
「皮脂を抑える」「テカリを防ぐ」は化粧品の広告で言えますか?
「皮脂(の分泌)を抑える」は生理機能への作用を示すため化粧品ではNGになり得ます。「余分な皮脂を洗い流す・拭き取る」という洗浄の整理や、パウダーの吸着などメイクアップ効果・物理的カバーとして「テカリを目立たなくする」と説明する範囲なら表現の余地があるとされています。
「ヒゲが薄くなる」「加齢臭を防ぐ」はなぜNGなのですか?
「ヒゲが薄くなる・生えにくくなる」は抑毛効果(身体機能への作用)で化粧品の範囲外とされています。ニオイも、化粧品が言えるのは香りでマスキングするまでで、「防臭・殺菌・制汗」は承認を受けた医薬部外品(薬用デオドラント)の領域です。